神話の宝庫 出雲に佇む出雲大社
日本のはじまりとも言われる出雲地方。そうそう、この「出雲」という地名ですが、この地域では、常に雲が出やすいということで、八雲立つ出雲と呼ばれるようになったとのことで、そこからこの地域が出雲と呼ばれるようになったそうです。
その出雲が大和の国に国譲りする代わりに、天にもそびえる社を建立するという条件によって、この地に誕生したのが出雲大社です。
そんな出雲大社ですが、ただただ参拝するのでは余りにももったいないので、正しい参拝方法や見どころ、そしてパワースポットもご案内していきたいと思います。
今回のご案内でゆっくり境内を参拝していくと約2時間弱は必要でしょう。
出雲大社の正門でもある勢溜の鳥居から下り参道へ
旧大社駅から石の大鳥居を大社方面に進んで賑やかな参道を抜けると正門でもある勢溜の鳥居という木製の鳥居が見えてきます。そこをくぐると写真の下り参道となります。
写真は平日の朝9時頃の様子ですが、まだ人影もそんなに多くありません。
出雲大社の駐車場に車を駐車して、さっと参道に入ってしまうと、この正門等を忘れてしまうことになります。
まずは祓社(はらえのやしろ)でこれまでの罪や穢れを祓い清めます
下り参道を歩いてしばらくすると右手側に小さな祠があることに気づきます。これが祓社(はらえのやしろ)です。出雲大社は他のお宮さんと違って「2礼4拍手1礼」が正しい参拝方法ですが、まずはこちらで2礼、そして4拍手した後に手を合わせて「祓えたまえ清め 祓えたまえ清めたまえ」と心の中で唱え最後に1礼です。
これで、今まで生きてきた中での様々な罪や穢れ(けがれ)を祓うことができるそうです。
浄の池(きよめのいけ)で心身を清める
祓社でお祓いを済ませて参道を進めると、右手に池が見えてきますが、こちらが浄の池(きよめのいけ)です。こちらは、身を清める場所ではありますが、今の世の中で、それが許されるはずもありませんので、とりあえず軽く手を合わせていきましょう。
祓橋(はらえのはし)を渡り、ここからは神の領域に…
さらに参道を進めると橋が見えてきます。これが祓橋(はらえのはし)です。祓社で穢れを落とし、浄の池で身を清めたものが、この橋を渡ることによって、神の領域に足を踏み入れることを許されるわけです。
一番のパワースポット!鉄製の鳥居前
祓橋を渡ると松の参道が始まります。この松に囲まれるように鉄製の鳥居があるんですが、ここ!重要です。出雲大社で一番のパワースポットと思われる場所なんです。
霊感が強かったと言われる、かのパトリック・ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が出雲大社を参拝した時のこと、この三の鳥居の前で、急に胸が苦しくなってうずくまってしまったのだとか…。霊感の強いかたなら、ここで何かを感じることができるかもしれません。
松の参道を進みましょう
この三の鳥居からは中央の参道を歩くことはできないので、左側の参道を進みましょう。最近では有名になってきた話ではありますが、参道の中央は神様の通り道でもあります。「自分は神様だ!」という方は、歩いてもいいかと思いますが、基本的には中央を避けて歩くようにしましょう。
左手に勅使館が見えてきます
松の参道進めて行くと左手に建物が見えてきます。多分…扉は閉まっているでしょう。こちらは勅使館といって、天皇や皇族からの勅使がいらっしゃった時にお休みになる場所です。千家典子さんが出雲大社にて婚礼をされる際にも、こちらでお休みになられたので、こちらの建物が開いていたということですが、出雲大社を参拝した時に、こちらの扉がもし空いていたら、それは貴重な瞬間を目にしているということでしょう。
ご慈愛のご神像(因幡の白うさぎ伝説)
勅使館の先、社務所の手前にご神像があります。これがご慈愛のご神像です。
因幡の白うさぎというお話を聞いたことがあるでしょうか?地域については諸説あるようですが、大国主命(おおくにぬしのみこと)が傷ついた兎を見かけて、手を差し伸べているというシーンです。これが日本で初めての医療行為だと言われています。
そんなこともあって、出雲大社を訪れたことがある方なら、お気づきかもしれませんが、境内の様々な所にウサギの像があります。そんなウサギ達を探しながら出雲大社を巡るのも、一風変わっていて新しい発見があるかもしれません。
手水舎で清めましょう
社務所の前に手水舎がありますので、ここで清めていきましょう。
さて、正しい清め方ってご存知ですか?まずは右手に柄杓(ひしゃく)を持って、左手を清めます。次に持ち替えて右手を清めます。そしたら、さらに持ち替えて左手に一口分の水を注いで口をゆすぎます。昔は柄杓に口をつけている方を見かけましたけど、あれはNGです。口をゆすいだら、口を付けた左手をもう一度清め、残った水で柄を立てて、自分が持った部分を流し終えて、柄杓の柄の部分を清めます。
以上の作法を1杯の水で行うようにしてください。
と…銅の鳥居をくぐって拝殿に行きたい気持ちもわかりますが、参道を挟んで反対側に何か気になるものがみえませんか?
ムスビのご神像
こちらですが「ムスビのご神像」と呼ばれています。大国主命がまだ神様になる前のお話ですが、写真左側の日本海の荒波の中から金色に輝く「幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)」が現れて、その魂をいただくワンシーンを再現したものです。
これを拝領したことによって、大国主命は神様になることができた…というわけです。
この大国主命の姿勢なんですが、これがパワースポットでパワーを得るための正しいポーズだそうです。今までパワースポットに行ったけれども、全然効果が無かったという方は、この受け取り方にも問題があるのかもしれません。
参道の横断方法
手水舎からムスビのご神像へと行く際に、このあたりの参道を横断したと思いますが…。どのように横断しましたか?参道には正しい横断の仕方というのがあって、参道の中央付近で一度本殿に向かって一礼をしてください。
これは出雲大社に限ったことではありません。今度、神社を参拝する際に、神職の方が参道を横断する時を観察してみてください。必ず一礼してますよ。
逆に、これをやることによって「あっ、あの人は参拝方法をよくわかってる人だな」と、わかる人にはわかると思います。
銅の鳥居をくぐりましょう
さぁ、いよいよ拝殿が見えていると思いますが、一礼をして銅の鳥居をくぐりましょう。この鳥居は銅製のものとしては日本で一番古いものになります。
くぐって左手には神馬や、神牛がいて、撫でることによって子宝に恵まれたり、学業が上達するようです。
拝殿でお参りを…
いよいよ1枚目の写真の場所へとたどり着きました。こちらが拝殿です。大きなしめ縄が見えますが、出雲大社を象徴する日本一のしめ縄はこちらのものではなく、神楽殿のものです。
ところで、何かしめ縄で気づくことはありませんか?
実は普通の神社さんと左右が逆にしめ縄が張られています。これは間違いではありません。というのも、出雲大社にとって、神々が降り立ったとされる浜がある西の方角は神聖だとされています。なので、出雲大社に祀られている神様たちは全て西を向いているんです。
本殿に向かってお願いごとを済ませましょう
拝殿のすぐ裏には大きな本殿が見えていて、その前には八足門があります。一般の拝観では八足門までしか行くことはできません。
ここまで来たら大国主大神にお願いごとをしましょう。忘れていませんか?2礼4拍手、そしてお願いごとをして1礼です。お願いごとをする時ですが、必ず住所や名前も忘れずに伝えましょう。でないと、神様はどこの誰がお願いをしているのかわかりません。
今まで、お願いが叶わなかった方はそれが原因かもしれませんよ。
八足門の前で床面を見てください。円がいくつか見えませんか?
実はここが平成12年に古代本殿の柱が発掘された場所です。ここで柱が発掘されたことによって、現在の本殿は高さが24mですが、古代の出雲大社は高さ48mと巨大であったことが証明されました。
なぜ、平成に入るまで発掘されなかったのか?それは、過去の遷宮ではそこまで深く掘らなかったからなんです。今回の遷宮で地下道を造る計画があって、そのために深く掘ったところ、古代の柱が発掘されたというわけです。
この発掘された柱は隣の出雲歴史博物館に現物が展示されています。
東十九社・西十九社
八足門から左右を見ると写真のようなお社が見えます。向かって右側が東十九社(ひがしじゅうくしゃ)、左側が西十九社(にしじゅうくしゃ)で、こちらは旧暦10月の神在月に八百万の神様がご宿泊になられる宿舎です。
宿舎だからといって、中にベッドがあるわけではありません。神様は白い布に宿って出雲大社まで来られます。その布を掛けることができるようになっています。
普段は閉まっている19枚の扉ですが、旧暦10月11日~10月17日の神有祭の際は扉が開いて中を拝むことができます。ぜひ、貴重な1週間にお出かけしてみてください。
出雲大社はつぎはぎだらけ?
平成の大遷宮が終わった出雲大社ですが、壁や柱を見て気づきましたか?実は写真のように、つぎはぎだらけなんです。遷宮の際は傷んだ部分だけを直すというのが、出雲大社のやり方なんだそう。
実はこの「つぎはぎ」はとても手間のかかる作業だそうです。伊勢神宮のように、いっそのこと隣の敷地に新しい建物を建てる方が簡単なんだけど、出雲大社は古く傷んだ部分だけど修復するやり方で現在まで続いています。
この遷宮も60年に1度。一生に2度出雲大社の修復をする職人はごくわずか。伝承が難しいので、出雲大社は受け継がれる技術と、その時代の新しい技術の融合で遷宮を繰り返します。
出雲大社のベストショットはここ!
出雲大社のご本殿は、正面から写真に収めようとしても八足門があって、うまく撮影できません。実は東十九社先から斜めの角度がご本殿を撮影するベストの位置なんです。
こちらからでも…
もう少し先の曲がり角付近から撮影するとこんな感じです。風が吹いている日であれば、国旗が中央に綺麗に映ります。
素鵞の社(そがのやしろ)
ご本殿の背後にひっそりとたたずむ小さなお社です。こちらは素鵞の社といって、大国主大神の父親であるスサノオノミコトが祀られています。
ご本殿の裏でお父さんが静かに見守っていてくれているということですね。ぜひともお参りしたいお社です。
一番大国主大神に近づける場所はここ
素鵞の社からご本殿に近づくと、実はここが一番大国主大神に近づいている場所なんです。というのも大社造りは正面の入口から逆コの字型になっていて、一番奥で祭神が向かって左側を向いているんです。境内のうさぎたちもここから大国主大神を見守っていました。
本殿の西側でもお参りをしましょう
本殿の西側に回ったら、ご本殿の西側でお参りをしましょう。というのも、大国主大神は西側を向いていらっしゃるので、実はこの角度で大国主大神と相対しているということになります。
ご本殿参拝後は神楽殿に…
ご本殿の参拝が済んだら、神楽殿へとお参りしましょう。神楽殿に張られいてる写真のしめ縄が日本で一番大きいものだと言われています。いまや、出雲大社というと、この神楽殿の写真で紹介されることも多いので、神楽殿を見て「出雲大社だ」と勘違いしている方もいるようですが、神楽殿は結婚式場です。
間違った都市伝説
この日本一のしめ縄にお金を投げて刺さると、縁起がいいという噂がありますが、これはただの都市伝説です。逆に神様に対してお金を投げつけて、結界でもあるしめ縄を痛めつけるという行為は、神様に対して失礼に当たるので、やめましょう。
日本一の大きい国旗
神楽殿の前には国旗が掲揚されていて、これが日本で一番大きい国旗掲揚だとされています。国旗の大きさは畳で75畳分の大きさ。重さにして約50kgあるそうです。
高さは47mということですが、これは古代の出雲大社が48mの高さだったので、それを越えないようにしているのだとか。出雲ドームの高さも47mとされています。
参拝が終わったら、出雲名物の出雲そば割子三段で
参拝を終えて、駐車場の先に出雲そばの老舗「八雲本店」があります。せっかく出雲大社を参拝したら、名物の出雲そばを食べたいところです。
割子三段
こちらが名物出雲そば割子三段です。出雲地域ではお弁当の代わりにそばを持っていくことが珍しくありませんでした。当時は四角い箱が主流でしたが、角が食べにくいということもあって、今は丸型が主流です。
食べ方は各段に蕎麦と薬味が乗っているので、直接ダシをさっとひとまわし掛けます。一段食べ終えたら、残ったダシを次の割子に移して、ダシをつぎ足しして食べます。
次へ次へと最後までダシを足しながら、最後に蕎麦湯に注いで、蕎麦湯をいただきます。
食後はぜひ出雲歴史博物館へ
食事が済んだら、ぜひ出雲大社に隣接する出雲歴史博物館を見学しましょう。
こちらでは出雲大社や出雲地域に関する貴重な展示を数多く収蔵しています。平成12年に発掘された古代出雲大社の柱も現物を鑑賞することができます。こちらを見学することによって、出雲大社の参拝がより深いものになることでしょう。
相撲やぜんざいなど、様々な物事の発祥になった出雲にぜひおでかけしてみてください。
そんな出雲大社の参拝に便利な宿がオープンしました。詳しくは「2017年7月にオープン!出雲大社徒歩圏内にオープンのホテル「月夜のうさぎ」」にてご案内しています。
「月夜のうさぎ」のお得な宿泊プランは下のリンクをクリック!
中国・四国のおでかけ&グルメ情報はこちら
全国のおでかけ&グルメ情報はこちら