カムイミンタラ ~神々の遊ぶ庭~
大雪山旭岳のことを、かつてのアイヌ民族は「カムイミンタラ」と呼んだそうです。直訳すると「神・の・庭」ということで、それを今ではさらにグレードアップさせて「神々の遊ぶ庭」と訳すそうです。
アイヌ語で「神」を意味する「カムイ」という場所は、本来では人間が近付いてはいけない危険な場所とされています。それは熊が頻出する場所であったり、旭岳のような火山がある場所であったりで、アイヌの人々はそんな人間の近づいてはいけない危険な場所をあえて「神」とすることで、自然と共生する生き方をしていたと考えられています。それもあって、北海道には「カムイ」と名の付く場所が他にも存在しますが、いずれも過酷な場所か危険な場所です。
現代では文明の力もあるので、容易にそんな「神々の遊ぶ庭」にお邪魔をすることもできるわけです。
旭岳へはロープウェイにて
まずは標高1100mにある山麓駅から大雪山旭岳ロープウェイに乗車します。
〒071-1472 北海道上川郡東川町旭岳温泉【地図】
☎0166-68-9111
運行時間は日によって変動します。詳しくはHPをご確認ください。
往復大人 2900円(トップシーズン6/1~10/20) 1800円(通常)
往復小人 1450円(トップシーズン6/1~10/20) 900円(通常)
【定休日】11月中旬~12月初旬まで設備点検のための運休あり。
通常時期とトップシーズンとの値段差が大きいですけど、天気のいいトップシーズンの日にロープウェイに乗車すれば、その金額も高いとは感じないでしょう。
標高1600mの姿見駅へ
約10分の乗車で標高1600mの姿見駅に到着します。ロープウェイ乗車中に「森林限界」と呼ばれる場所を通過するんですが、そこを通過すると「樹木」と呼ばれるものがなくなってきます。日本のロープウェイでも、この「森林限界」を通過するものは珍しいと言われています。
姿見駅に到着後、ロープウェイスタッフから簡単な散策路の案内や注意点の説明があって、その後は自由に散策ということになります。
今回訪問したのが7月の初旬でしたが、姿見駅付近の気温は13℃。散策路には雪渓が残っていて、所々では散策路が雪解け水で川のようになっています。その説明も到着後の案内であるかとは思いますが、その場合には迷わず長靴をレンタルしましょう。
説明後にスタッフに声を掛けると1足300円でレンタルできます。
旭岳の散策にスタート!
今回はセオリー通りに時計回りで回ってみることにします。散策に出発して木道を歩き始めると、早速正面に雪渓が見えてきます。レンタルした長靴であっても、滑りやすいので十分に気を付けて歩いていきましょう。
第一展望台までは姿見駅から10分~15分ほどで到着できます。姿見駅では2291mの旭岳が見えていたんですけど、残念ながらこの展望台では山頂をみることはできませんでした。
途中、雪渓が融け始めている場所もあって、注意して進まないと崩れる可能性があるという看板も出ています。
夫婦池(すり鉢池・鏡池)
すり鉢池です。まだ完全に雪が融けていませんね。7月といってもまだまだ春本番ではなさそうです。が、これが融けると短い夏がやってきます。
こちらが鏡池です。こちらもまだまだ雪解けが完璧じゃないようです。
こちらには旭岳が綺麗に映ることから鏡池と呼ばれています。
鏡池から噴気孔を目指して歩き始めて、ちょっと後ろを振り返ると2つの池を同時に見ることができます。左がすり鉢池、右が鏡池です。この2つが並んでいるので「夫婦池」と呼ばれています。小さく見えるかもしれませんが、池と池の間に人が見えますか?これで2つの池が小さくないことがわかると思います。
第一展望台から高山植物を眺めながらゆっくり歩いて30分ほどで噴気孔へと到着しました。ここではかなりの勢いで噴気が出続けています。
その様子を動画でご覧ください。
音もすごいのが動画だとわかってもらえるかと思います。
ここまで来ると姿見の池はすぐそこです。
こちらも残念ながら7月初旬では凍っている状況でした。こちらも、夏本番ともなれば、池には旭岳が映っていたことでしょう。
姿見池の脇には「大雪山愛の鐘」が設置されています。
この鐘は昭和37年12月30日に北海道教育大学函館分校山岳部11名が遭難。2日後にリーダー1名が旭岳温泉にたどり着いたものの、他の10名が死亡し北海道最大の遭難事故となってしまいました。彼らを弔い登山客の安全を願って設置されたものです。
姿見駅に到着して山麓駅へ
1週およそ1時間で周ることはできますが、高山植物を鑑賞したり、雪渓を歩くシーンがある場合には余裕をもって1時間30分あれば、慌てることなく1周することができます。時間が無い場合には夫婦池までの往復や、姿見池への往復といったコースを考えてみるのもいいでしょう。
ロープウェイの料金は正直高いと感じるでしょうが、やはりこのエリアに訪れたのであれば、この旭岳ロープウェイはマストの立ち寄り場所でしょう。
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