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あちこちを旅をして そんな旅の様子を綴っています

日本一 標高の高い場所にある井川蒸溜所 秘境の地で育まれるジャパニーズウイスキー

標高1,200mの場所にある井川蒸溜所

井川蒸留所 貯蔵庫①

2020年 静岡市の山深い秘境の地に「日本一標高の高い蒸溜所」として 井川蒸溜所がオープンをしました。そんな井川蒸溜所とはどういった所なのか?今回は 特別に許可をいただいて 見学に行ってきました。

朝に静岡駅を出発

静岡駅南口 模型の世界首都

出発したのは 2023年5月中旬の静岡駅。ここから日帰りで井川蒸溜所を目指します。静岡駅からは 県道を北上していきます。途中 梅ヶ島・井川の分かれ道を井川方面に そこからは 道幅が狭くなり すれ違いが困難な山道を進めていきます。

富士見峠に到着 MAP

富士見峠

出発して 約1時間20分ほどで 富士見峠へとやってきました。長い山道が続いたので ここでトイレ休憩をとります。

富士見峠 展望台

この富士見峠には展望台があって そこからは 木々の中から これから行く南アルプスの山々を見渡すことができます。

井川ビジターセンターでトイレ休憩 MAP

井川ビジターセンター 外観

2016年3月にリニューアルされた井川ビジターセンターです。こちらからは 井川蒸溜所を運営されている 株式会社十山のスタッフの方に同行していただきました。まずは ビジターセンター内にある 山岳模型を利用しながら 簡単な井川のあらましを お伺いします。

白樺荘にて昼食休憩

白樺荘 外観

井川の集落を超えて ひたすら山の中を進んでいきます。そして静岡駅を出発して3時間。赤石温泉 白樺荘に到着です。こちらで 時間的には少し早いですが 昼食を取って さらに奥地にある井川蒸溜所を目指していきます。

南アルプス赤石温泉 白樺荘

〒428-0505 静岡市葵区田代110-5 MAP

☎054-260-2021

10:00~17:00(4月~11月は~18:00) 【休館】火曜(8月 11月は無休)

白樺荘 売店付近

白樺荘は 大人510円 小学生200円で 良質な赤石温泉を楽しめるほか 南アルプスへ登山するための前線基地として 宿泊も可能な施設です。

白樺荘 メニュー

こちらの 白樺荘の食堂にて 昼食をいただきますが メニューも豊富で どれにしようか迷ってしまいます。中には 地元食材の使用にこだわったメニューも見受けられます。

畑薙第二ダムカレー(甘口)

白樺荘 畑薙第二ダムカレー(甘口)

悩みに悩んで注文したのが 写真の畑薙第二ダムカレー(甘口)1,300円です。

白樺荘がある畑薙エリアには 第一・第二と2つのダムがありまして そちらを模したダムカレーとなります。ちなみに辛口が第一。甘口が第二で どちらも1,300円となります。

カレーには 井川の朝採れ野菜のサラダの他 井川の清流で育ったヤマメの唐揚げが付いていて この唐揚げは頭から尻尾まで全て食べることができます。ちなみに このダムカレーはスタッフでもあるインド人の方が考案されている…とのことで 甘口とはいえ かなりスパイシーです。これで甘口だと辛口はどんな感じなんだろう…。

白樺荘 畑薙第二ダムカレー ダムカード

こちらのカレーを食べると ダムカード…ならぬ ダムカレーカードがゲットできます。

沼平ゲートからは一般車の通行は禁止 MAP

東俣林道 沼平ゲート

白樺荘を出発して15分程で 東俣林道の沼平ゲートに到着です。許可書の無い一般車は これから先は進入禁止となっています。今回は 特別に許可をいただいているので ゲートで手続きをして 林道を進めていきます。そして ここからの林道は 安全のため車内でもヘルメット着用が必須となります。

畑薙大吊橋 MAP

東俣林道 畑薙大吊橋

東俣林道に入ってすぐに 畑薙大吊橋の脇を通過していきます。

畑薙大吊橋①

畑薙第一ダムのダム湖に掛かる畑薙大吊橋です。南アルプス 茶臼岳への登山ルートのスタート地点となっています。秋は 周囲の山々が紅葉するので 隠れた紅葉スポットとして 知る人ぞ知る場所です。

畑薙大吊橋②

全長181mという吊橋です。写真では 足元の鉄板が横2枚しかありませんが これでも かつては木製の板が1枚で幅が広がったそうです。高所恐怖症の方では 難しいかもしれません。

赤崩 MAP

東俣林道 赤崩

赤い畑薙橋を渡った先の赤崩へとやってきました。山を見ると 下が濃く上が淡い 緑のグラデーションが見事です。山の上の方は まだ春が始まったばかりということですね。

川を挟んで向かい側が赤崩と呼ばれる場所で 1年に4mmという異常なペースで隆起を続けています。その隆起した部分が 自身の山の重さに耐えきれずに崩落を繰り返しています。

赤崩から畑薙橋

赤崩のポイントから 渡ってきた畑薙橋の方向を見ています。山裾の 右側が東俣林道です。赤崩のすさまじい崩落で 奥の方には ガードレールが見えていますが 手前では それがただの白い線になって 川底が林道と同じ高さになってしまっています。

南アルプスの拠点 椹島に到着 MAP

椹島 クラブハウス

南アルプス登山の拠点 椹島に到着です。沼平ゲートから この椹島までは林道経由で 1時間。静岡市中心部からは 昼食を抜きで考えると 片道約4時間の所要時間です。

白旗史朗南アルプス山岳写真館 MAP

椹島 白旗史朗写真館

そんな標高1,100mの椹島には 山岳写真家の第一人者 白旗史朗さん撮影による 南アルプスの山岳写真を集めた記念館があります。

白旗史朗 南アルプス山岳写真記念館

宿泊棟でもある椹島ロッジよりも立派な建物で 南アルプス産の木材が贅沢に使用されています。1階部分は吹き抜けになっていて その奥には 目にも鮮やかな新緑が広がっています。

白旗史朗 南アルプス山岳写真記念館 階段

写真館は2階なので 建物内に入り 階段で2階を目指すのですが その階段や見上げた梁にも 1本物の木材が使用されています。写真の像は大倉喜八郎といって 渋沢栄一と共に 日本の基礎を築きあげた1人で 大成建設のほか サッポロビール・日清オイリオ等 様々な有名企業の設立に関わった人物です。この南アルプスの土地を所有する 特種東海製紙においても創業者の1人となっています。大倉喜八郎は88歳の時に カゴや背負子に担がれた大名登山で 標高3,121mの赤石岳に登頂もしたとのこと。

白旗史朗 南アルプス山岳写真記念館 2階

こちらが2階の写真館です。息をのむほどの 素晴らしい南アルプスの写真の数々が展示されています。これだけ大きく引き伸ばされても 細部まで しっかりと撮影できている素晴らしさ。まるで その場にいるような錯覚を覚えます。

いよいよ井川蒸溜所へ

東俣林道 井川蒸留所 入口

椹島での休憩を済ませた後は いよいよ本題の井川蒸留所へと進みます。と 蒸溜所へ入る前には 立ち入り禁止のゲートがあります。

東俣林道 井川蒸留所 入口②

今回は特別にゲートを開けていただき いよいよ内部へと入っていきます。

井川蒸留所 大井川の源流

ゲートを過ぎると 大井川の源流を渡っていきます。井川蒸溜所で使用されている仕込み水は この大井川へ流れ込む湧水を使用しているとのこと。湧水には絶対の自信があるとのことで 通常は塩素で消毒をしなければいけないところですが 紫外線による殺菌をして 自然そのままの味わいを大事にしているとのこと。

井川蒸溜所 MAP

井川蒸留所 外観

静岡市内から走ること約4時間30分。昼食やトイレ休憩を入れると 静岡駅を出発して この井川蒸溜所まで 実際は約6時間掛かっています。そんな秘境の地とは思えない立派な施設です。

井川蒸留所 玄関

いよいよ 井川蒸溜所の心臓部分に入っていきます。建物が新しいだけに 将来的な蒸溜所見学を想定した造りになっています。ということで2階へ…。

井川蒸留所 原料倉庫①

まずは 原料が保管されているエリア。こちらには大量の大麦があり 見えている白い袋1つで1㌧ほどあるそうです。

井川蒸留所 原料倉庫②

この原料でもある大麦(モルト)を粉砕機で粉砕していくのですが 写真にもある通り 粗さによってハスク・グリッツ・フラワーという3種類に分けて粉砕をしていきます。この割合がウイスキー造りの一番重要なポイントとなる部分だそうです。

そうしたできたグリストと呼ばれるものは 隣の部屋で 水の中に糖を溶かしだす糖化と呼ばれる作業へと移ります。そういった糖がアルコールの生成に重要となります。

井川蒸留所 蒸留器

原料が大麦ということもあって ここまでの作業は ビール造りの行程とも似ています。ビールを作る場所が醸造所であるのに対して ウイスキーが蒸溜所である理由がここにあります。写真は蒸留するための設備で この細かいフォルム等も 蒸溜所のこだわりが出る部分で 味に影響を与えたりするそうです。そしてこの「蒸留」の作業により アルコール度数は60度にもなるそうで ここから製品に適しているとされる部分が樽詰めされていきます。

井川蒸留所 貯蔵庫

そうして 樽詰めされたウイスキーは 貯蔵庫で熟成されていきます。2020年にウイスキー製造を始めて ここで熟成されているウイスキーの初出荷は2028年を予定しているそうです。

井川蒸留所 貯蔵庫 1号樽

写真の樽ですが「1」の番号が書かれています。樽詰めされた順番に番号が付されていくので この樽が井川蒸溜所で最初に樽詰めされたもの…ということになります。

井川蒸留所 試飲

そして 今回 特別に 樽の原酒を試飲させていただきました。まだまだ製品に向けて熟成をしている途中の貴重な原酒です。口の中にフワッとウイスキーの香りが広がります。今回は2種類の試飲をさせていただきましたが 樽の種類によって 風味が全く別物になることに驚きました。

井川蒸留所 間伐材ミズナラの樽

そんな井川蒸溜所の貯蔵庫で ひと際 新しい樽を見つけました。こちらの樽は この南アルプスで間伐されたミズナラを使用して作られた樽とのこと。

この中のウイスキーが製品となる頃には 熟成させる樽まで含めた「純井川産」のジャパニーズウイスキーが誕生することになりそうです。会社では 新たに将来的に樽を作るミズナラ等の植林も進めていくとのこと。今後が楽しみになりそうです。

株式会社十山 井川蒸溜所

〒428-0505 静岡県静岡市葵区田代字大春木1299-1 MAP

☎054-260-2245(株式会社十山)

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