ただの五百羅漢ではない!
西伊豆の国道136号線をドライブしていると、ついつい通り過ぎてしまいそうなお寺ですが、こちらは絶対おすすめのスポットです。
国道136号線から県道59号線を仁科峠方面に入り、仁科川に沿って走っていくと左手側に東福寺の山門が見えてきます。
田舎によく見るようなお寺で通り過ぎてしまいそうです。山門の先に本堂が見えますが、通常は本堂は閉まっていて、声を掛けると開けてくれますが、不在の時もあるので、立ち寄る場合は事前に連絡を入れることをおすすめします。
な~んとなく来たものの、人気が無くて帰ってしまう方もあるとか…。確かに人気が無いと入っていいのかちょっと心配になりますよね。
それでは本堂の方へ…
入り口にこの札がある通りで、拝観には大人1人200円必要です。これは中に入った時に支払うことになりますので、声を掛けて本堂を開けていただいたら、まずは靴を脱いで本堂に上がってください。
入ったらまずは天井を見上げてみてください。
漆喰でできた八方睨みの龍
どこから見ても龍がこちらを向いていると言われる八方睨みの龍です。通常は彫刻で作られることが多いのですが、こちらの龍は漆喰で作られています。
そして、この龍を漆喰の五百羅漢が取り囲んでいます。
五百羅漢は男性の場合、どこかに自分に似ている像があるそうですので、ぜひ探してみてください。その場合、ずっと上を見上げていると首が疲れますよね?
そんな時は本堂の畳に寝転がって全体を眺めるのもOKです。くれぐれもご本尊さんに足を向けないように、気を付けてください。
羅漢というのは仏道の修行者や悟りを開く修行をしている修行僧を意味していて、四隅には楽器を奏でる天女が舞っていて、天上界を表現しています。
八方睨みの龍の写真を見ると、左下に「印」があるのがわかりますか?これを作成した「田村利光」さんの名前がわかると思います。
田村利光さんは群馬県の左官職人で、この東福寺の檀家さんの1人から依頼を受けて、4年8ヵ月の歳月を要して、この漆喰の五百羅漢を完成させました。
その間は、同じく西伊豆町にある山田医院に寝泊まりをして、仕事に当たったと言われています。その山田医院にも寝食の感謝の意を込めて、数々の漆喰で作られた鏝絵が残されています。
彼の漆喰鏝絵は漆喰を幾層にも厚塗りをして立体感を持たせることを特徴としていて、それによって迫力や表情を生み出すことが可能となっています。
この鏝絵を依頼した檀家さんですが、西伊豆町から東京の浅草に出て事業を起こし成功を収めます。そして、先祖を弔ってもらっている菩提寺の恩に報いるため、本堂に天上界の浄土を描いて奉納しようとしたのが、この漆喰の五百羅漢が生まれたいきさつとのこと。
この漆喰の五百羅漢を製作した田村利光は相当な名工のようで、昭和初期日本四大財閥の1つ安田財閥の創始者安田善次郎の漆喰壁も任されているほど。
これほどの作品を200円で鑑賞できるのなら、絶対に立ち寄るべきでしょう。
お寺の情報です。
東福寺
〒410-3513 静岡県賀茂郡西伊豆町中24-1
電話 0558-52-0549
拝観 200円
定休 不定休 ※訪問前に連絡することをおすすめします。
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